何年かを掛けて北海道を歩いて一周するつもりで始めた。今年はいわばそのPARTⅡで、稚内→網走を歩くことを昨年歩き終わった時点で想定していた。
続きであるから昨年の終着点、稚内から歩き始めるのが妥当であるが計画を立てている段階で、どうも逆向きに歩いた方が都合が良さそうだということが判った。
一つにはキャンプ場と温泉の位置関係である。温泉に入るのは歩いているときの最大の楽しみの一つだ。温泉付キャンプ場というのが最高で、北海道にはこのパターンが割に多くてありがたい。しかしそんなキャンプ場ばかりではないから、そういう場合は出来るだけ近くの温泉を利用することになる。なるべく一日の行程の終わりに近い方が望ましいことは言うまでもない。調べてみると今回の場合キャンプ場の南側に温泉があるのが多い。これが網走側から北上することになった最大の理由。
もう一つは、北に向かって歩いた方が、直射日光を正面から受けなくて済むだろうと考えたからである。実際には北西に向かって歩いたので結果的には午後遅くになると西日を正面から受けることになったが、少なくとも３分の２は思惑通りというところ。
ＡとＢの関係～において、Ａ～ＢならばＢ～Ａが成り立つとき、数学用語ではＡとＢは～に関して対称律が成り立つという。今回の場合、稚内から歩き始めても、網走から始めてもこの間を歩くということには同じ、即ち対称律が成り立つと仮定して歩いたのだが、一つ誤算があった。昨年稚内駅前で終わったので、今回稚内駅前まで行けば問題は無かったのだが、途中で連絡が入り、稚内到着予定日（２０日）に急に会議の予定が入り、その日の夕方まで札幌へ戻らなければならなくなったのである。それで最終日の予定、宗谷岬→稚内駅前をカットして宗谷岬からバスで稚内まで行くことになった。
そうなると北海道一周の道筋が稚内→宗谷岬の間でで続かないことになる。これが稚内から歩き始めたのなら、たとえ都合で常呂辺りで切り上げたとしても問題はなかったのだが。
まあ、あまり拘らないことにすれば大した問題ではないが、なんとなく引っかかる。この間をどうするか、歩き直すか稚内＝宗谷岬と割り切ってしまうか、まだ一周が完成するのは３～４年くらいかかりそうなので、その間に考えよう。
７月９日（土） 曇り
| ９：１０ 自宅を出発。札幌から都市間バスの網走行きに乗車。 １７：２０ 網走駅前到着。ヴィクトリアステーションでステーキセットの夕食を取ってキャンプ場のある呼人浦まで歩く。 稚内までほぼＲ２３８を歩くことになるが、網走刑務所近くの大曲から呼人浦へはＲ３９を北見方面へ２Ｋｍほど戻ることになる。 １８：３０ 呼人浦キャンプ場。Ｒ３９の側だが割に静か。蚊が多いのが難だが無料だし設備もまぁまぁで文句も言えまい。さすがにバイクツーリングが多い。 |
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| 出発点の網走駅 | |
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| 網走刑務所入口 | 呼人浦キャンプ場。後は網走観光ホテル |
７月１０日（日） 曇り
| ３：３０ 起床。さすがに日本で一番日の出の早い地域とあってすでに明るい。札幌や小樽と比べても３０分くらいは早いのではないかと思われる。 インスタントラーメンとパンの朝食。 ６：０５ 出発。 網走湖から流れ出る網走川の出口で面白い現象を見た。川が逆流して川上であるはずの網走湖に流れ込んでいる。網走湖と河口であるオホーツク海との高度差がほとんどないので満潮時にはこういう現象が起こるのであろう。 |
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| 網走湖に流れ込む網走川。潮目が出来ている | |
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| 網走川の河畔にはアオサギが多い | 大曲からは網走刑務所の農場横を歩く。 部外者立入禁止の看板があちこちに立っている |
 Ｒ２３８と平行するサイクリングロード。網走湖畔で |
大曲からは旧ＪＲ湧網線跡に出来たサイクリングロードを歩く。この辺は実業団や大学の陸上長距離選手の夏合宿のメッカで、朝トレでジョギングしている選手が多い。 ８時前、網走湖畔を過ぎて能取湖にかかるころ、今日このサイクリングロードでインターナショナルオホーツクサイクリング大会というのが行われ、選手が間もなく通過するということを宣伝カーが告げていた。８時半頃から約３０分この一段とすれ違った。警備をしていた係員に聞くと１０００人以上の参加者だという。 この人達がほとんど「頑張って」とか「こんにちは」とか声を掛けてくれるので、こちらも黙っている訳にはいかず、３０分以上挨拶のし通しだった。 |
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| サイクリング大会の先頭集団 | ３０分以上、延々続く自転車の列とすれ違う |
| ９：０５ やっとサイクリングの一行が通り過ぎた後、旧卯原内駅舎跡が休憩所になっているので、コーヒーを沸かして一休み。 ここはＳＬなども置いてあり、ちょっとした小公園になっていて休憩所も広い。トイレや水道もあって野宿には良いかもしれぬ。 １１：４５ 西能取の食堂でホタテラーメンの昼食。 １４：２０ 常呂交通ターミナルで休憩。ここからＲ２３８と分かれて栄浦のキャンプ場へ向かう。 |
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| 能取湖 | |
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| 野生のルピナスの群落 | 常呂からはハマナスの植え込みの気持ちよい道 |
 狐に荒らされた洗面バッグ |
１８：００ 栄浦着。キャンプ場の駐車場はあるがテントサイトらしき場所がない。探していると「このキャンプ場は閉鎖されました。近くのキャンプ場をご利用下さい」という看板が立っていた。今更そんなことを言われても今日はもう時間的にも体力的にも限界なので、雨も降りだしてきたし旧キャンプ場の東屋らしき屋根の下にテントを張ることにする。テントを張ってから向かいのホテルに温泉があるようなので入りに行く。帰ってきたから洗面用具入れや傘などを東屋のテーブルに置いたままテントに入って寝た。 夜中にガサゴソと音がするので目を覚ますと、テントに狐の影が映っている。外に出てみたがすでに遅く、洗面バッグも傘もさらに少し濡れていたので干しておいたズボンもない。周りを探してみるとそこら辺に引っ張り出している。 幸いズボンは濡れただけで済んだが、傘はヒモを切られ、洗面バッグに至ってはあちこちに穴を開けてズタズタにされて使い物にならなくなっていた。まあ仕方ないかと諦めて寝る。 |
